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20012601
考え事。

作品を通してなにかを「追求する」という言い方がされることがある。
「リドリー・スコット監督はエイリアンシリーズを通じて造物主と被造物との関係を追求している」みたいなイメージ。
で、私もそういうふうに追求するテーマを持たねばなと感じていたんだけど、意見が変わった。意見が変わったのは結構前なんだけど言語化してなかったので書いておく。

私はここでいう「追求」を「解明すべき謎なり疑問や解決すべき問題を設定し、作品を描くのを通じてその答えを得ることを目指す」と理解していた。
これは間違いである。
作品を描くのを通して「答え」を得ることはできない。

自然科学の研究であれば、というか自然科学である必要はないのか。なんて言うべきかな、学問的研究と言っておくか、学問的研究であれば答えは作者の外側に客観的に存在する。
* これこれの古墳が誰の墓なのか突き止める
* 人造人間が作成可能か究明する
* この文献に出てくるこの謎の単語の意味を解明する
* がんの特効薬を作り方

これらの答えを得るには実際に文献をあたるとか遺跡を発掘するとか科学的実験をするとかがその手段になる。

つまり、作品を描くことはアウトプットであり、作者の内側にあるもの以上のものは出てこない。

なので作品を作ることを通しての「追求」というのは学問的研究のことではない。
たとえとしてはアスリートが新記録に挑む方に近い。
「ホラーを描くのを通して恐怖を追求する」だったら、より深くより鋭い恐怖を視聴者に与えるということに作品ごとにチャレンジするということになる。これなら作品作りを通しての実践が可能だ。

作品作りを通して実現可能なことは、want や take ではない。
give であり、主張である。

つまり、作品作りを通して視聴者/読者になにものかを与えることのみが可能である。
* 楽しみ
* 恐怖体験
* 教養
* 感動
* 疑問
* 批判

そう、ややこしいけど「問題提起」もあり得る。答えを得ることを目当てにせず、問題を突きつける。これはアウトプットを通して実現可能な価値だと思う。
で、作品を作ることは常に何らかの価値が増えていくことだと位置づけて狙っていくのがいいと思う。
「読者にもたらす価値の総量を増やす」ということを大目的にすれば永久に描き続けられるだろう。
アスリート的に新記録を目指すのを目標にすると、奇跡的に名作が描けてこれを超えることは不可能だとなった時点で筆が止まるので。

すると設定すべきなのは「追求すべきテーマ」ではなくて、なんだろう。
* 読者にもたらしたい価値
* 取り扱いのテクニックを深めたいモチーフやジャンル
* 洗練させ続けたい手法

作品が増えるごとに純増していくもので設定できると良い。

私なら具体的には…

## 読者にもたらしたい価値
* 生きるにあたってのエネルギーを供給したい

## 取り扱いのテクニックを深めたいモチーフやジャンル
* 最近ならSF
* 実存(自分自身のものさし)
* 人工知能とかアンドロイドとかの作られた存在

## 洗練させ続けたい手法
* 象徴の手法
* ○○しながら会話するという手法
* 強固な物語構造


主張。
作品を通して「答えるを求める」のは筋違いで、基本的には作品は「主張する」ものだと思う。
主張であれば、目的は主張内容をより多くの人により深く理解してもらうことになるだろう。
そう考えればモチーフやジャンルもこだわって一貫性を持たせずに移ろっていったほうがいいのかもしれない。その分いろんな読者に届く可能性が増えると。

要約。
作品作りを通してよそから答えを受け取ることはできない。
自分から視聴者になにかを示すことができるのみなのだ。
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