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18122301
ここ数日はマンガ『からくりサーカス』をずっと読んでいた。
からくりサーカスは昔からある作品だけど読んだことがなく、今やってるアニメも別に見てなかったんだけど、「いつか読まないといけない」マンガのひとつという位置づけだった。で、最近は漫画のアイデアを考えようにもあまりに何も思い浮かばないのでインプットに時間を使おうと思いからくりサーカスに手を出した次第。

名作だった。

からくりサーカスを振り返って学びを得よう。
以後、ネタバレあり。

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からくりサーカス読む前の印象。
どうも作中で最も重大なネタバレに事前に触れてしまっていたらしい。ツイッターで回ってきたのを読んだ記憶がある。
内容:機械の体を持っている存在がバカにされていて、しかしそのバカにしている連中が実は脳が機械だった

なのでそういう話なのかと思ったら、通して読んでみるとそうでもなかった。というか一応このネタバレは作中に当てはまる(人造人間「O」と旧式のオートマタとのことらしい)んだけど別に「なんと!脳が機械だったのです!」的な展開はなかったし重要なものでもなかった。
なのでほぼネタバレ無しで読めたことになる。



私としてはもっと盛り上がったのは最初のからくり屋敷抗争エピソード(1〜3巻)だった。
* 善良な主人公
* クールビューティーなヒロイン
* こどもを助けるために戦う
* 助けられたものが成長する

これらの構造が、自分が描きがちなお話の構造とかなり重なる。自分のお話回路とからくりサーカスのお話回路とはかなり合致すると感じた。

で、泣ける話が多いのも良かった。

作者の特徴だなと感じたもの。
* 「他人の記憶の引き継ぎ」という要素がとても好きらしい
* 構想のスパンが長い

伏線の張りと回収が異常に壮大である。
原因となった一連の過去の出来事があって、それを受けて未来に行われるイベントがあり、未来の側から語り始めて過去の出来事を開示していくという手法。
実はそのへんは私は別に「すごいな」とは思ったけど心を打たれる要素ではなかった。作品の中盤はそういう過去へのさかのぼりと謎解きという説明が多かったけど、そのへんは「普通の漫画だな」という感じで読んでいた。
私にとっては1〜3巻こそが特別で、やはりそれが私にとってのからくりサーカスの魅力の核心だった。

連載マンガは長編になるのでお話の構造がつかみにくくなるなというのは感じた。物語の構造への関心が強い私にとってはそのへんはマイナス要素に感じる。
お話がしろがね対オートマタになったり全世界が病気になって人類が滅亡の危機に瀕するとかになると、自分の身近な問題から離れていって関心が薄れる。その点、序盤は「莫大な遺産を相続した子供とそれを利用しようとする親戚の大人」という構図で、もちろん自分の日常ではないけどまだ共感を持って読める範囲の問題だったので入り込みやすかった。

学びを得るとしたら…
悪役かなあ。からくりサーカスの黒幕は白金という錬金術師一人に収斂される。惚れた女性の愛を求めて、それがかなわないことに精神を病んで次々に迷惑なことをする。
「振られた男の病んだ精神」が問題の中央だ。

うーむ。
学びがどうというよりはいかに刺激を受けるかが大事だな。

作者が「記憶の引き継ぎ」を好むというのを分析してみたら面白そう。たしか『月光条例』でもそういう要素があったはず(ちゃんと読んでないのでうろ覚え)。『うしおととら』もアニメで序盤の数話を見ただけなんだけど、いまウィキペディアであらすじを調べたらやっぱりその要素がある。獣の槍を持ったものは今までの使い手の記憶を引き継ぐとか。

作者にとって以下の要素が作家性だ。
* 過去から続く多くの因縁の伏線をお話の序盤から張り巡らせて終盤にかけて収斂させていく息の長い構造
* 記憶の引き継ぎという要素

うしおととらや月光条例もちゃんと読めば共通項目もっと見つかるだろうけど一旦顕著なこのふたつ。

伏線の巧みは構造は語りのテクニック。
記憶の引き継ぎというモチーフの方にやっぱり作家性をより強く感じるな。

人間のつながり。
時系列的に縦のつながり。
過去と現在を結ぶ。その意味では過去エピソードと現在の展開とを構造的に結びるける語りのテクニックとシナジーがある。
あーだから、伏線回収の巧みなお話構造と記憶の引き継ぎモチーフとは実は同じ根っこを保つものなんだな。同じ作家性なんだな。

作者の藤田和日郎先生のウィキペディア記事を読むとなんか気づきが得られないかな。

中国拳法の形意拳の修行経験があるという。だから主人公が拳法使いなのか。
中国の拳法には長い歴史があって、いわば先人が積み重ねてきたものを新しい弟子たちが引き継いで更にそれを伸ばしていく。一人の人間の代で始まって終わるものよりも多くの人間が歴史をつないで育てていく「道」に作者はロマンを感じているのかもしれない。

こんな時間か。この辺にしておくか。また自分のマンガのアイデア探さないとね。

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