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映画『ブラックパンサー』感想
映画『ブラックパンサー』を見てきた。
さすがマーベルスタジオ。素晴らしい作品だったのでサラッと感想を。
以後ネタバレあり。
## アフリカベースの未来像
事前に町山智浩氏の紹介で予習しておいた。



ブレードランナーは未来像をアジアベースに空想して提示した。それがその後の映画(を始めとした色々なコンテンツ)の未来観に大きな影響を与えた。

同様に、ブラックパンサーはアフリカをベースに未来像を空想して提示した。今後の映画における未来描写に大きな影響を与えるのではないか。
このアフリカベースの未来像を「アフロフューチャリズム」というらしい。
なんだけど、いま「アフロフューチャリズム」で検索したら別の意味が出てくるな。
だから言葉にはこだわらなくていいや。アフリカと未来的科学を結びつけた描写が斬新だった。

## 立体投影映像を超えた未来技術
未来的な科学技術の描写がいくつもあったけど特に印象に残ったのは立体映像技術だ。
正確に言うとこれは映像技術を超えたものだった。
端末から粒子が出てきて、人物や情景を形作る。3Dプリンタでのレンダリングを空中でリアルタイムで行うという感じ。
映像を空中に投影するどころではなくて実物のコピーをリアルタイムで作るということが表現されていた。素晴らしい想像力だ。

## エンディングの映像
エンディングの映像が上記のリアルタイム3Dプリンティング粒子をうまく使っていた。
音楽はアフリカ的なパーカッションの効いたもの。
パーカッションのビートが上記のプリント粒子を震わせて映像を変化させていく。
作中での名シーンを表現した粒子プリントと、アフリカ的な装飾文様とが入れ替わる。
3Dと2D、未来的イメージと伝統的イメージ、これらを未来的な粒子と伝統的な音響とを媒介にして入れ替えている。すごい発想だ。

## ブラックパンサーはブラックパンサーだった
ブラックパンサーというとマーベルヒーローの名前の他に同じ名前の革命組織がある。
ブラックパンサー党

1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで黒人民族主義運動・黒人解放闘争を展開していた急進的な政治組織。
作中でキルモンガーの父親がまさにブラックパンサーの活動をしている。党員だったのかどうかは私にはわからなかったが、やろうとしていることはブラックパンサー党のやろうとしていることと同じだ。
つまり、黒人解放運動がある。
非暴力路線のマーティン・ルーサー・キングJrが暗殺される。
もう非暴力じゃダメだと言うことで暴力革命路線の活動を展開する。
作中でも「指導者が殺され」という言及があった。キング牧師のことだと思って見ていたけど今調べたら同時期に同じく黒人解放活動家のマルコムXも暗殺されているんだな。

で、ブラックパンサー(党)的な解放運動をしていた人物の息子がキルモンガー。
この、マーベルの文脈では名前も聞いたことが無い人物が今回のヴィランかよ存在感ねえなと思っていたが、このキャラの設計が素晴らしかった。

キルモンガーはティチャラとの決闘に勝利してワカンダの王となる。
ワカンダの王といえばブラックパンサーだ。
つまり、ブラックパンサー(党)の文脈を受け継ぐキルモンガーがブラックパンサー(ヒーロー)になったのだ!
で、復活したティチャラは再度ブラックパンサーとなり、キルモンガーと戦う。ブラックパンサー対ブラックパンサー。
そうか! ブラックパンサー(ヒーロー)が戦うべき相手はブラックパンサー(黒人解放武力闘争の歴史)だったのか!
正直、映画ブラックパンサーがここまで社会派な内容だとは思っていなかった。私はこういうシナリオが好きだ!

## 葛藤1 閉じこもったままでいいのか
ワカンダはヴィブラニウムを持ち世界一科学技術の進んだ国である。
つまり世界で最も進んだ国である。
一方で、対外的には貧しい農業国を装っている。技術の流出を防ぐために偽装しているのだ。

今回の問題提起は、自分の国を守るために閉じこもっていていいのかということだ。
自国の持っている力を正しく世界のために役立てるべきではないのかと。
アメリカが黒人解放運動で苦しんでたときワカンダは見殺しにしていたじゃないかと。

キルモンガーの構成要素はふたつある。
* ワカンダの科学技術と資源とを世界で虐げられているひとびとに提供して解放を進めよう。
* 父親を殺した祖国ワカンダを許さない、俺が乗っ取ってやる。

前者の要素については、「疑うべき悪」ではない。
実際、キルモンガーとの闘争に勝利したティチャラもこっちの路線に国の運営方針を転換する。

「世界のために開国すべきか、自国のために偽装したままでいるべきか」という問いかけを視聴者に投げかけてくる。これは現代の日本にも通じる問いかけなのではないか。


## 葛藤2 忠誠を誓う相手は誰か
後半、キルモンガーが決闘でティチャラを倒してワカンダの王になる展開がある。
ティチャラの側近の槍使いの女性戦士は葛藤しつつも新しい王に忠誠を誓う。
これは良かった。理屈で言えばキルモンガーに不正は一切ない。論理的に正しい。だから論理的な正しさに従う。誇り高い!
王権が簒奪されたとき、周囲の人間はどう行動すべきかの決断を迫られる。私も「自分だったらどうしただろうか」を考えた。そういうところが面白い。


## 総合
ちょっと前のマイティソーラグナロクも超すごかったけど、今回のブラックパンサーも超すごかった。
二ヶ月後には超スゴイことが約束されているアヴェンジャーズインフィニティウォーが控えているし、何年もあとになるだろうけど私の好きなXメンがMCUに合流する由。
マーヴェルスタジオの映画は天井なしにすごさを突き進んでいきますな! 今後も楽しみ!
| 映画 | 19:56 | - | - | permalink |
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