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17060302
特撮秘宝で名前を知った映画『大怪獣モノ』をレンタルで見たんだけど、おもしろくなかった。
葛藤を覚えるほど駄目な感じだった。
つまり私は町山智浩氏や高橋ヨシキ氏に多大な影響を受けているので映画秘宝経由の情報はかなり信用している。
なので大怪獣モノも「普段の自分の基準では絶対借りないような邦画だけど映画秘宝(特撮秘宝はその別冊)で紹介されてたから借りた、面白さを見いだせるに違いない」というスタンスで向き合った。

そういう、かなり映画に対して好意的な態度で観始めたんだけどダメだった。

特撮アクションを撮ることが目的でそこに工夫が集中しており、それ以外はどうでもいいという態度を感じた。
で、私の鑑賞態度はまさにそのかなぐり捨てられたであろう部分にのみ集中しているので、相性が悪かった。
つまり、特撮アクションは良かったんだけどストーリー・脚本がダメだった。
演出もテンポが悪かったり不要なシーンが多かったりということはあったけどもしストーリーが受け入れ可能であれば気にはならない程度だったと思う。

この作品の脚本から感じたのは不真面目さだ。
作品全体がコメディなので真面目くさった内容でなくてもいいんだけど、コメディにも真面目なコメディとふざけたコメディとがある。
ただこの意見、私の考えが硬すぎるのかもしれない。私のスタンスがクソ真面目なだけかもしれない。真面目なコメディで思い浮かんだ作品がチャップリンの『独裁者』だったから、そりゃ低予算バカ映画で『独裁者』目指さないよ!ってことかもしれない。

そうか、ゴジラシリーズもウルトラマンも、基本的にはクソ真面目な態度で作られているものが多い。だから怪獣物にはクソ真面目であってほしいという態度が染み付いているんだな。


ネタバレ有りの感想。

物語る態度に一貫性がない。
大怪獣が登場して序盤に、怪獣が現れたのは人間のせいなんだから怪獣を攻撃してはならないという主張の平和団体が現れる。その代表者が怪獣にパクっと食べられる。このシーンは平和活動団体への風刺の意味を持っていて、有り体に言えばそういう思想を馬鹿にすることを目的にしている。怪獣映画なんだから難しいこと考えずに怪獣との戦いを愉しめばいいんだよ!という態度。
それはそれで良い。
なのに、この映画の結末は、怪獣の卵を怪獣に返却して地底に返すというものなのである。倒さずに決着つけるなら平和活動団体をコケにするシーンと矛盾するじゃん!!

それとか、途中で怪獣を倒すためにウルトラマンレオのように滝を切って特訓するシーンがあるんだけど、それによって身に付けた技が怪獣に通用しない。じゃあ特訓の意味なかったじゃん! 特訓の意味が無いということは特訓のシーンのために費やされた尺が要らないということで、無駄なシーンを見させられたってことじゃん!

結局、大怪獣モノとの戦いで逆転要素になったのは「悪の遺伝子」だった。しかし、モノが悪要素を弱点としているという描写はそれ以前にはなかった。悪の遺伝子が強力であるという説明もない。ただ博士が少しセリフで触れる程度だ。だから、意味のなかった必殺技の特訓のシーンを削除して、その代わり悪の遺伝子についての伏線となるエピソードを入れるべきだったのだ。

それに大怪獣モノが人間で言えば老婆であることが判明するというのも伏線が弱い。「皮膚を分析してみます」というだけ。いや、毒蝮三太夫の落語のラジオだけが入るというのが伏線だったのか。ならそこはきちんとしていたのかもしれない。でも老婆と毒蝮三太夫とが関連性あるというのは視聴者は前提知識としては持ってないんじゃないか(私は持ってなかった)。

細かく言えばギャグのネタがいちいちサムい。無い方がいい。
* 巨大化細胞の開発者の科学者の趣味が女装コスプレ
* 文化人類学者の博士がキャバクラの常連
* 怪獣退治に協力させたければ一発芸勝負をしろというくだり
etc

このバラエティ番組のように見ているのが苦痛なシーンがあるから邦画は見たくないというのがむかしからあった邦画への悪い印象なんだけど、そういう「邦画の悪いところ」が恐れていたとおりに(と言うかきっと無いだろうと期待していたのが裏切られた形で)ふんだんに盛り込まれていたので、途中から早送りで見ていた。

おそらく製作者としては「予算がふんだんにあればもっといい特撮アクションが作れたよ!」と言いたいのではないかと思うんだけど、むしろ特撮アクションのクオリティは私にはこれで十分なのである。
そうではなく、ストーリー、と言うか物語るということについての態度のところが私にはうまく噛み合わない映画でしたとさ。
| 映画 | 23:46 | - | - | permalink |
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