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ネクロマンサーの娘 マンガ原作用
この文章の文体:マンガ設計図

【キャラの名前】
 主人公:ショベル
 ヒロイン:ヨミノ
 ペットの犬:ビクトル
 少女の父親のネクロマンサー:ネクロ卿
【1:6歳】
お屋敷。
その裏庭。
陰気な雰囲気。

石のテーブルの上に黒い猫の死体が置いてある。
死体のそばに、子猫が一匹寄り添っている。母猫の死を理解できていないようだ。

猫の死体の前で少女が泣いている。

少女の足元には子犬が寄り添っている。
子犬は猫の死体に怯えるように、少女の靴に鼻を寄せてうずくまっている。

少女の父親が、16歳くらいの少年を連れてやってくる。

「また泣いているのか、ヨミノ。」父親が娘に声をかける。
「ネクロマンサーは死体に慣れないといけない。アンデッドの腹から産まれたお前なら死体ぐらい怖くなさそうなものだが。
ヨミノ、今日からこの男はお前の従者だ。」
「じゅうしゃ?」ヨミノが問い返す。
「お前の面倒を見る召使いということだ。」

子猫がにゃあにゃあ泣く。

「ぼくの名前はショベルです。墓掘りをしていました。よろしくお願いします、お嬢様。」少年が行儀よく挨拶する。
「わ、わたしのなまえはヨミノです… よ、よろしく おね… が…」

「お歳はおいくつですか?」
「ろくさい。」
子猫がいっそう激しく泣く。

「えい、うるさい猫だ。」
ネクロ卿、母猫の死体にすがる子猫をつかみ、塀の向こうへ無造作に投げ捨てる。

「では頼んだぞ。」
ネクロ卿、去る。

「ヨミノちゃん、この猫どうしたんだい?」
「お父さまが、したいになれろっていって、もってきたの。」
ヨミノ、死体から隠れるように、ショベルに身を寄せる。

ショベル、ヨミノの足元の犬を撫でる。
「かわいいね。この犬は?」
「ペットのビクトル。お父さまがもらってきてくれたの。」
「元気ないみたいだね。」
「しんでるねこがこわいみたい。」

「猫、かわいそうだから、土に埋めて、お墓を作ってあげようね。いいかな?」
「うん。おねがい、おにいちゃん。」

少年、穴を掘り、猫を埋めてやる。

「これからよろしくね、ヨミノちゃん。困ったことがあったらなんでも言って。」
「うん。ねこのおはかつくってくれてありがとう。」


【2:14歳】
庭の畑。猫を葬った墓が遠景に。墓がいくつか増えている。
ヨミノがビクトルと穏やかに散歩している。
そこにショベルがやってくる。

「今日は一段と寒いですね、ショベル。」
「冬至ですからね。」
「この畑には何の種を蒔いたのですか?」
「ハーブを作り始めています。ヨミノお嬢様が薬学を学び始めたということですので、材料にできそうなものをと。
ところでお嬢様。ネクロ卿がお越しになっています。ビクトルを連れて地下室まで来るようにとのお言いつけです。」
「お父さまが… 判りました。

ショベルも一緒に来てください。」
「かしこまりました。」

ネクロ卿の待つ部屋。地下室。いかにも寒そうな暗い部屋。窓はない。地下の駐車場のような雰囲気。

ネクロ卿、ショベルも一緒であることに不快感を示す。
「召使いも一緒か… まあいいだろう。
薬学の勉強は進んでいるか?」
「はい。お父様。」
「犬は元気か?」
「ビクトルですか? こちらに。」
ビクトル、元気に一声吠える。

「今日はその犬に、土産を持ってきてやったのだ。愛犬クラブで流行しているという、オーロ牛のサーロインだ。」
ネクロ卿、ヨミノに肉を渡す。

「ありがとうございます。ショベル、お願い。」
「かしこまりました。」
「いや、この肉はお前の手から犬に食べさせてやるといい。」
「判りました。」

ヨミノ、肉を一切れつまみ、ビクトルに食べさせる。
ビクトル、美味しそうに食べる。
以後、一切れ一切れ食べさせてやる。

「さて。ヨミノ。そろそろお前には本格的なネクロマンシーを教える。」
「…はい。」
「ネクロマンシー、死霊術とは、死体を操る術である。具体的には、動く死体・『アンデッド』を作る技術のことだ。
今の技術ではまだ、アンデッドを簡単には作ることはできない。それを死体にふりかけるだけで簡単にアンデッドにすることができる粉『ゾンビパウダー』というものが理論上は存在するが、これの精製方法は判明していない。ゾンビパウダーの精製が私の研究の目的である。お前には将来的に私の研究を手伝ってもらう。」
「はい。」

「現在判明しているアンデッド作成方法ではふたつの条件を満たさねばならない。
その1。アンデッドになる対象者が生前、アンデッドの作成者であるネクロマンサーを愛していること。
その2。対象者の死は、自身による自殺か、または作成者であるネクロマンサーによる殺害かによらなくてはならない。
そうしてできた死体を材料に、アンデッドの作成者であるネクロマンサーが、正しい薬品を媒介に正しいまじないを用いて命ずると、死体はアンデッドとなり、ネクロマンサーに忠実な召使いとなる。
アンデッド作成の練習には犬が適している。犬は主人に忠実なので、対象者が術者を愛すという条件を充たすのが容易だからだ。」

肉を食べていたビクトルが泡を吹いて痙攣しだす。
「ビクトル!?」
「騒ぐな。肉に毒を入れておいただけだ。」

ビクトルが死ぬ。

「この犬は飼い主であるお前を愛していた。
この犬は、お前が与えた毒の餌で殺された。
今、お前にとってこの犬の死体は、アンデッドを作れる条件が満たされている。
この薬品を使え。死体にふりかけろ。そして、今から教える呪いを唱えるのだ。」

「私、ビクトルを殺す気なんてありませんでした…」
ヨミノはビクトルを殺してしまったことに動揺する。

「クロノ卿。お嬢様がかわいそうです。」ショベルが抗議する。
クロノ卿は黙殺する。

「母親を殺したお前が犬ごときで騒ぐな。さっさとはじめろ。」

クロノ卿がヨミノにやり方を指示する。
ヨミノが指示に従って、ビクトルの死体に粉をふりかけ、呪文を唱える。
「我が命に従え。起きよ、ビクトル。」

ビクトルが起きる。

「成功だ。やはりお前は生まれながらのネクロマンサーだな。
アンデッドは術者が死ぬか、術者が命じると終わる。やってみるがいい。命令は『土に還れ』だ。」

「土に還りなさい、ビクトル。」
ヨミノが命じると、ビクトルが灰になる。

「アンデッドが終わると、灰になる。この灰は貴重品で、ゾンビパウダーの重要な材料だと推測されている。すこしもらっていくぞ。」
ネクロ卿、ビクトルの灰を瓶に詰める。

「今日のレッスンは以上だ。また新しい犬を取り寄せよう。」
「犬はもう… 要りません…」
「そうか。ならば良いだろう。引き続き勉強に励めよ。」

ネクロ卿、教団に帰る。

涙を流して立ち尽くすヨミノと、ヨミノの手を握るショベル。

「お嬢様、提案があります。」
「はい…」
「ビクトルを埋めて、墓を作ってあげましょう。」
「…お願いします。」

ショベル、ビクトルの灰の残りと首輪とを集める。

場面転換。
黒猫の墓の隣にビクトルの墓。


【3:17歳】
美しく成長したヨミノ。
ショベルがカボチャを持って登場。

「そのカボチャは? 今収穫したんですか?」
「いえ、これはこの畑でとれたものではありますが、貯蔵しておいたものです。ある国の風習では冬至にカボチャを食べるそうなので、見習おうかと。」
「ところでショベル。今取り組んでる薬を作るのにマンドラゴラが必要なのですが、庭で栽培できますか?」
「マンドラゴラですか。あれは栽培が難しいのでこの庭ではちょっと難しいかもしれません。どんなお薬なのですか?」
「(にこっと笑顔を見せて)惚れ薬です。」

台所。黒装束のネクロ卿。
塩の壷の中に蠍を入れる。

〜〜

調理するショベル。
塩の壷に手を突っ込むと、蠍に刺される。
ショベル、悲鳴を上げる。
蠍を潰す。
悲鳴を聞いてヨミノが駆けつけてくる。
「どうかしたのですか、ショベル。」
潰された蠍を見るヨミノ。
「蠍…」

ショベルの容態がどんどん悪化する。
「この蠍は、エンペラーデスブリンガーです。非常に強い毒性を持ち、刺されたら二時間で死に至ります。
この毒の解毒にはオアシスホワイトショウガが必要なのですが、オアシスホワイトショウガはこの国では手に入りません…」

「死ぬ前にお嬢様にお伝えしたいことがあります。
ヨミノお嬢様。私はあなたを愛しています。」

「ここに、飲むと一瞬で楽に死ねる毒薬が… あります。」
「蠍の毒で死ぬ前に、自殺するか、お嬢様に殺していただければ、私はアンデッドになれるわけですね。」
「あなたをアンデッドにすれば… ずっと一緒にいられます…」

「なりません。」

ヨミノ、涙を落とす。
「わたくしをひとり残していかないで…」

「ヨミノお嬢様は、ネクロマンシーがお好きですか?」
答えに詰まるヨミノ。

「ネクロマンシーはあなたを不幸にするでしょう。
あなたはネクロマンサーになるべきではない。
あなたはいつかネクロ卿から離れて… 恋をして… こどもを作り、育てるべきだ。
死の世界ではなく、生の世界で生きるのです。」

「わたくしを置いていこうとしているのに、あなたがそれを言うのですか…?」
「こんな毒ぐらい気合で生き延びてみせます。私はアンデッドとしてあなたといっしょにいたいのではなく…
あなたと家庭を築いて…」

ショベル、意識を失う。

外から犬の鳴き声がする。
「この鳴き声… 聞いたことが…
…ビクトル…!?」

ヨミノ、声のする方向を見る。
窓の向こうにビクトルの墓。
植物が生えている。
近寄ってよく見てみる。
「オアシスホワイトショウガ…!
ビクトル… ありがとう。」

ネクロ卿。屋敷の裏口。
「そろそろあの男がアンデッドになっている頃だろう。
娘がネクロマンサーとして覚醒し、人間のアンデッドの灰も手に入る。
あの娘は母親の胎内に居ながらにして母親をアンデッドに変えた生まれながらのネクロマンサーだ。
きっとゾンビパウダーの謎を解き明かすだろう…」

屋敷のドアが開き、旅のいでたちをしたふたりが出てきて、はち合わせる。

「…! お父さま…!」
「うまくアンデッドを作れたようだな。
…? こんな時間に裏口からどこに行く?」
「ちょ、ちょっと薬草の買い出しに…」
「そんなもの、アンデッドにやらせればいいだろう。どれ、出来はどうかな…」

ショベルの口から白い息。

「呼吸…? 貴様、生きているな!」

ふたり、表口に向かって駆け出す。
ネクロ卿が追う。
そこに、猫の集団がやってきて、ネクロ卿の行く手を阻む。
中心的猫は冒頭に出てきた黒猫の子猫が成長した姿。
ネクロ卿を取り残し、ふたりは逃げ切る。

【その後】
ヨミノとショベルとが明るい世界でこどもと一緒に暮らしている図。
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