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哲学女子のシナリオ第一稿
# マイ哲学女子

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## 登場人物
* ナカヨシ
会社員。
今回はほぼ脇役。
ダム子との差別化のために一人称を「俺」とする(私の好みではないが今回はダム子のほうがが重要なので)。

* ダム子
ダム子はハンドルネーム。freedomでダム子。
本名はおそらく由子(ゆうこ)。
社会からの「女はこうあるべき」という圧力に負けじと突っ張っている。
一人称は「私」。

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## 脚本

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1. 喫茶店 / 昼食時 / 土曜日

ナカヨシとダム子、喫茶店で座っている。

ナカヨシ「さて。ダム子よ。俺に話したいことがあるということでセッティングされた今回の会合だが
今回の議題は何だ?」
ダム子「クレープが食べたいのだ。」
ナカヨシ「ほう。
君のことだ。長い文脈が背景にあるのだろう。補足を頼む。」
ダム子「ナカヨシは判っているな。話を進めやすい。」

ダム子「話の導入には私の常設テーマが今回も登場する。ナカヨシは何度も聞いたことがあるだろうから話が重複するかもしれない。序盤のプロセスをスキップするか?」
ナ「いや、いつも考えているテーマへの考えも、そのときどきによって微妙に異なってくるものだ。フォーカスするポイントがズレていったり時事ニュースの影響が反映されたりする。話すことでそれらが表面化するかもしれないから何度でも口に出すことは有用だろう。なので、チュートリアルからはじめてくれ。」
ダ「承知した。」

ダ「我々の側の性別、女性というものは、常に、社会から『女はこうあるべし』という圧力を受けている。
かわいくあれ、従順であれ、働き者であれ、貞淑であれ、淫乱であれ、良き母であれ…
つまり、男に都合の良い奴隷であれということだ。会社に都合の良い奴隷のことを社畜というのだからこの男に都合の良い奴隷のことを男畜(ダンチク)と造語してもいいかもしれない。
で、私はこの圧力に屈しないことをポリシーにしている。奴隷化の圧力から自らを解放するのだと。」
ナ「ハンドルネームの『ダム子』もたしかフリーダムから来ているのだったな。」
ダ「うむ。フリーダムアットラスト。フリーダムアットラスト。」

ダ「そこでクレープだ。
ナカヨシはクレープについてどう思う?」
ナ「美味しそうではあるが、生地は小麦粉で作られ、大量の生クリームが添付された食物なので、カロリーの塊だ。健康に悪い。
しかし君が聞きたいポイントはおそらくそういうことではないな?」
ダ「私に言わせればクレープというのは女の子のための食べ物の権化だ。女の食べ物だ。」
ナ「なるほど。パブリックイメージ、社会的に付与された記号的な意味の側面を重視しているのだな。」
ダ「だから、たとえば香水のにおいがして髪の毛をふわふわにしてヴィトン?マ・クベ?だかなんだかのブランドの財布を持っているような女子大生やOLがいるとする。彼女らがツイッターにこれから食べようとしている料理を画像つきでつぶやくとする。そういうのが私には『飼いならされた奴隷』のように見える。で、その食品がクレープであろうものなら平常な精神ではいられない。深呼吸して素数を数えるようなルーティンが必要になる。」
ナ「ツイッタークライアントソフトで『クレープ』をミュートワードに設定しておくといい。」
ダ「で、先日、テレビを見ていた。厳密に言うとテレビを見るのに集中していたわけではなく作業用BGMとして流していた。
あるテレビ番組でゆるふわな女性…芸能人?アナウンサー?がおいしいお店を紹介するという体であるクレープ屋に赴き、クレープを食べるというのをやっていた。それが非常に美味しそうに見え、私の食欲を刺激した。このクレープを食べたいと。」
ナ「普通の女性であればありふれたことだろうが君に限って言えば珍しいな。」
ダ「そうなのだ。
そもそもテレビというのはマスコミ。マスコミのマスというのは大きいという意味だ。要するに私が戦っている女性奴隷化強制力の主要な担い手だ。ゆるふわ美女にクレープを食べさせるという所業それ自体が罠だ。女はクレープでも食ってろという洗脳である。その意図は見え透いている。
しかし、クレープを食べたい。
これは私が洗脳されたということではないのか?
ここで私がクレープを食べてしまったら私の今までの人生を否定することになるのではないか? 奴隷解放のために戦っていた将軍が奴隷の虐殺を行うようなものに見える。」
ナ「なるほど。葛藤があると。
頭ではクレープなど食べるべきではないと考えている。
心はクレープを食べたいと要求している。
頭と心とが一致していない。」
ダ「そう。そこでナカヨシに意見を聞きたい。
もちろん、どうすればいいか決めてほしいということではない。決断は自分の責任で行う。そうでないと奴隷だ。ただ参考意見を聞きたい。判断の材料がほしい。」

ナ「第一の案。
クレープから記号的意味を剥がせばいいのではないか。
今回の問題はダム子にとってクレープが女子奴隷化圧力の権化的な食品であることに由来している。しかし、たとえばクレープの歴史について正しい知識を得れば、洗脳の尖兵というクレープ観は訂正されるだろう。そうすれば、たとえばキャベツを食べたいとか豆腐を食べたいとかの、普段食べているものをチョイスする場合との差異が生まれなくなると予想できる。」
ダ「残念ながらそれはすでに試みた。
クレープはフランスのブルターニュ地方が発祥の地で、もともとは小麦粉ではなくそば粉で作っていたらしい。そもそもそのへんの土地では小麦が作れないから蕎麦を作ってそば粉を焼いたものをパンの代わりに食べていたらしい。その薄焼きそば粉クレープのことはガレットと呼ぶ。
で、ブルターニュ地方に狩りでやってきた貴族… なんとかいう王妃だったかな?が庶民の食べていたガレットを気に入って宮廷料理に持ち込み、改良を経て小麦粉を使うようになったのがクレープなのだという。
特に日本ではクレープは独自に発展したもので、1977年に原宿で提供されだしたものが雑誌などに取り上げられてブームとなって定着したのだという。『生地に甘い果物や生クリームなどをはさむのはフランス発祥ではなく、原宿発祥のものである』とウィキペディアにはある。
つまり調べた結果、日本におけるクレープはマスコミがそのイメージ作りに関わったスイーツ=女性向けの食べ物である。
しかし、重要なのはそういう歴史なのではなくて、私の脳内にあるクレープの位置づけなのであって、仮に客観的に考えてクレープが奴隷化の手先でないことが判明しても私の心がそれを女子的食物の権化だと頑なにみなし続けるのであればそっちのほうが影響力が強い。」
ナ「なるほど。ここでも問題になっていることは今回のトピックと共通で、『心を制御できない』ということに集約していくのだな。」
ダ「私が言いたいのはまさにそういうことだ。」

ナ「第二の案。
感情に従え。
結局は頭と心、理性と感情のどっちに意思決定の手綱を握らせるかという問題になる。
私の経験で言うと人間は結局感情には最終的には逆らえない。人間は、というかべつに動物が含まれてもいいんだけど、自分で自分を完全には制御できない。感情に振り回される。
最終的には感情に逆らうことは出来ないのだと謙虚に認めることは自分は完全な存在ではないということを受け入れるということでもあり、倫理的な態度であるといえるのではないか。」
ダ「しかし、感情のままに生きるというのは、うつくしくないのでは?
たとえばニュースを見る。税金が上がる。怒りの感情が湧く。怒りの感情のままに…たとえば家族に当たり散らす。唾棄すべき行動なのでは?」
ナ「たしかにそうだ。
だから難しいところではあるが… 感情の制御は試みるべきだし、理性と感情とが対立した際にその都度葛藤を感じるということも大事なことだ。
『感情を制御する』という断定系ではなく、『感情を制御しようと試みる』という目標を方針として抱いておく。それを完璧には達成できないと理解した上で感情の制御を試みていく、感情に支配されるのではなく、感情を支配するのでもなく、感情と付き合っていこうということだな。」
ダ「クレープを食べたいという感情と向き合い、それには逆らえないということを認め、屈服すると。負けを認める分人間の器が大きくなると。」

ナ「待った。もっとポジティブにとらえよう。
女性奴隷化圧力に逆らうこと自体は真の自由ではない。この方針は逆に言えば、社会が『女性的』とレッテルを貼るものから自分を排除するという意味において逆説的に自分の自由を奪っている。
たとえば一枚の紙に絵を描くとする。教師が『女子は紙の左側半分だけに、男子は紙の右側半分だけに描きなさい』と指示するとする。
このとき、自分に禁じられたサイドだけを使って絵を描くのであれば、それは結局教師の決めた枠組みにとらわれているのと同じになる。そうではなく、画用紙の全面を、あるいは裏まで使って描くことこそ本当の解放であると。
『押し付けられている基準』から考えるのではなく、自分自身の基準から考えるのが真実の道である。」
ダ「それは… 私も常々考えていることだ。
女でないものを目指すのではなく、自分自身を目指す。
ただ、そうだな、これまでは自然に生きていてもあんまり『オンナノコオンナノコしたもの』に欲求が向くことがなかった。
なので今回の事態は、ケースとしては予測できたが実際に直面してみて改めて戸惑っている、というのに近い。」
ナ「ならば、クレープを食べることこそが、勝利につながる。真なる自分を探求するための試みを実行したという意味で、社会に勝利している。」
ダ「そう言ってくれるか。」

ダ「おそらく、私が今回の会合で欲しかったのは、それなのだ。
自分以外の手による、背中の後押しだったのだ。
どうも君には私にとって良心の検問所みたいになっていて、なにか後ろめたいことがあるとき、この検問所で『よし。行け』と言ってもらうことで気が楽になるらしい。勇気が出る。」
ナ「それは光栄なことだ。
それに、同じことは俺も感じている。ダム子は俺にとって裁判官的な…それとも検事なのか? 裁判用語には詳しくないが、とにかく良心の番人みたいに感じている。
ダム子の許さないことはできないように感じる。逆に言えばなんか罪を犯してしまったなというときでも、ダム子が理解してくれるならそれで許されたような気になるのだ。」
ダ「我々はそれぞれ良心の外部記憶装置として機能しているのだな。」

ダ「よし。じゃあ
決心した。クレープを食べに行こう。店を変えよう。実は目をつけていたクレープ屋はこの近くなのだ。」


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2. クレープ屋 店先のテーブル / おやつ時 / 土曜日

ダム子、テーブルに座っている。
出来上がったクレープをナカヨシが受け取ってテーブルに持ってくる。

ダ「これが… クレープ(イチゴバナナチョコ)… いや、もちろん見たことはあるが。」
ナ「こういうのはめったに食べないのでいい機会だ。美味しそう。」
ダ「ツイッターにスイーツ画像投稿しちゃうゆるふわモテOLの気持ちがわかる… 私は今画像投稿をしたい誘惑に駆られている。食物への喜び…というか期待かこの場合はまだ食べてないので、を具体的な行動で表現したがっているのだろうか?」
ナ「投稿するといい。今回の課題のひとつに『感情に従うという経験を積む』と言うものがあるはずだ。毒を食らわば皿までなのだから、クレープを食らわば画像ツイートまで、ということができるだろう。」
ダ「しかし私のツイッターのメディア欄にはこれまで自分で描いた作品しか載せていないというのが私の誇りの一端を担っている。」
ナ「むむ。ならば選ばねばならないな。これはある意味自身の潔癖を崩すことで人間らしさを獲得するということでもあるかもしれない。」
ダ「うーん。自分はクレープの画像をツイートしてしまうようなゆるふわな女では…いや、そうなのか…?」

ダ「わかった。決断しよう。ツイートする。自分の殻を破り自己を拡張するということは手を汚すということなのだ。」
ナ「スイーツの画像をツイートすることは罪ではない。決断を誇ることだ。」

ダ「ツイートした。いただこう。」

実食。

ナ「どうだった?」
ダ「結論から言うと美味しかった。(笑顔)」
ナ「それはよかった。」

ナ「君はクレープひとつ食べるにしてもそこに至る哲学を構築しようとするのだな。」
ダ「哲学というほどちゃんとしたものではない。」
ナ「今回の一連の行事は楽しかった。
俺は君の生き様が大好きだ。」
| 物語文章 | 12:15 | - | - | permalink |
ネクロマンサーの娘 マンガ原作用
この文章の文体:マンガ設計図

【キャラの名前】
 主人公:ショベル
 ヒロイン:ヨミノ
 ペットの犬:ビクトル
 少女の父親のネクロマンサー:ネクロ卿
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| 物語文章 | 01:24 | - | - | permalink |
11081201
幼女養女第三話。
http://loveandcomic.com/novel/yojoyojo/03.php
| 物語文章 | 11:33 | - | - | permalink |
11080602
幼女養女第二話アップ。
ただし校正これから。
http://loveandcomic.com/novel/yojoyojo/02.php
| 物語文章 | 13:26 | - | - | permalink |
11073001
次のシーン。
アウトライン。
■アメドリから神社まで歩く。この神社は池袋から歩いて20分くらいの熊野神社のイメージなんだよなあ。ドンキホーテの近く。
■移動中もガラクを買おうかどうか迷う。
■Twitterへのつぶやき ガラクを買うか迷っていること 神社に到着して巫女さんに思いを馳せるところ
■竜宮童子に会う。

ところで登場人物の名前ひとりも決めてない。

主人公の名前はいつものようにナカヨシでよい。苗字は? 「詩」を分解して言寺(ことでら)。
竜宮童子は人間ではないので姓名はいらず呼び名だけでいい。「幻想世界の住人たちIV 日本編」によると、竜宮童子の別名にシタリというのがあるらしい。シタリちゃん。ちょっと垢抜けない響きであるところが逆にそれっぽいかもしれない。シタリ。
ざっくばらん巫女。彼女は件の熊野神社の住人という設定になるだろう。しかし架空の存在なので、ここは神社の名前も変更して架空の場所にする。板橋区の熊野神社ということで板野神社という名前が思いついた。これにしよう。彼女の姓は板野。都合のいいことにグーグルマップで板野神社で検索してもその名前ズバリの神社はヒットしない。下の名前は? 巫女であってざっくばらんであってカードゲームプレイヤーであって… 「むせる」というキーワードを使う。決定。桐子(キリコ)。板野桐子。

仲良、シタリ、桐子。

じゃあ書こう。

***

ショップからアパートまで真っ直ぐ帰るのでは散歩として歩き足りなかったため、わたしは板野神社に寄り道することにした。

わたしは神社という場所が好きだ。だがその理由はフィクションからの影響である。エロゲなんかをプレイすると多くの場合神社が舞台として登場し、そこには必ずかわいい巫女さんがいる。わたしは巫女さんキャラを好きになることが多い。脳内で巫女さんキャラと神社とが結びついた結果、わたしは神社が好きなのだ。

アメドリから歩くこと約25分。板野神社にやってきた。
現実の神社というものは幻滅に満ちている。

[神社は美少女巫女さんを常駐させることを法律で義務化するべきだ もちろん黒髪の]
以前Twitterで書いたときもフォロワーさんたちから多くの賛同を得ることができた。これは国民の総意としての悲願であると言って良いということだ。

現実の神社には巫女さんはいない。いや、観光地の大きな神社には常駐巫女さんがいておみくじなんかを売ってるのかもしれない。地元の神社でも初詣で参拝にひとがたくさん来るときなんかは巫女さんがいることもあるだろう。しかし、近所の何でもない神社に美少女巫女さんが常駐していて箒で境内を掃き清めており、わたしを発見すると嬉しそうに手を振ってくれて、お茶でも出しましょうと言ってくれる、ということは残念ながら無い。

とても悲しい。

ひとが神社に求める要件は、その主要なポイントが巫女さんにあるとはいえ、別のものもある。
神社は出来れば俗世間から隔絶された山の上や森の中にあってほしい。緑に囲まれていて、自然に対して抱く崇敬の念が強化されるような場所であるのが良い。
他人の目に煩わされるような世間的な苦痛から解放された場所であるべきだ。

わたしの実家の近所にある神社であれば、山奥というほどには徹底していないとはいえ、巫女さん要素以外の神社らしさの合格ラインは満たしていた。その神社は、急な石段を登った先にあり、その高度の分だけ俗世間から解放される。後ろに林を背負っており、狭いとはいえ自然の中にあるお社なんだなあということは感じられる。

しかし、現在わたしがいるここ板野神社は、三大副都心のひとつである池袋の徒歩圏内にある神社だ。
俗世間からの隔絶感など到底期待できない。
まず、山も丘もないため、境内は俗世間と同じ高さに作られる。登るべき石段がない。
神社の敷地の外にはすぐに俗世間的な建物が建っている。それらの窓から神社の境内が見下ろせるわけで、他人の目から解放されるということがこの神聖な場所であるべき境内においては許されていない。
大体からして、この神社の神主?管理人?らしき者の自宅が神社の敷地内にある。これでは神社という場所が公の場所ではなくて私有地のようになってしまう。神社にいながらにして「ここ入っていいのかなあ」とビクビクしなくてはならない。


このように、都心の神社について憤懣は深刻な水準に達しているとはいえ、当面のわたしの関心は「原初の狩人・ガラク」にとどまっていた。

[いや でも 今回の基本セットってトークン生成しにくいからガラクがいると全然違ってくるんだよなあ]
iPhoneからツイートする。さっきからカードの話題しかツイートしてないな。

わたしのデッキはシンプルな戦略しか持たない。簡単に言うと、クリーチャーをたくさん並べて、「踏み荒らし」で総攻撃を掛け、対戦相手のライフを一気に削るというものだ。「踏み荒らし」というのは入手しやすい基本的な魔法カードで、場に出ている自分のクリーチャーすべてを一時的に強化する。いわば総攻撃必殺技みたいなカードだ。ただ、「踏み荒らし」で効果的に攻撃するにはあらかじめたくさんのクリーチャーを召喚しておかなくてはならない。
「原初の狩人・ガラク」は、一度場に出すと、場に出ている間は毎ターンそれ自体が新たなクリーチャーを召喚できるため、わたしの戦略にぴったりとハマるのである。

『ドラゴンエイジとヴァンキッシュ、買ったけど積みゲー状態だからこれ売ってカード資金にしようか… でもいつプレイしたくなるかわからんし… 一応両方とも4gamerのユーザーレビューで高得点を叩き出してる良ソフトのはずだしな…』
腕組みをしながら広くもない境内を曖昧な動きで歩きつつ、ぐるぐると考えていた。


「おじさま、欲しいものがあるの…?」

突然、声を掛けられた。
うろうろしている間からこの瞬間に至るまで、この発話の主たるべき他人の存在が視界には一切入っていなかったため不意打ちとなり、無様にびくっとなってしまった。

後ろを振り向く。誰もいない。
さらに視線を落とす。

そこにはおかっぱ頭の幼い女の子がいた。

『幼女…』

わたしの頭にとっさによぎったのは、幼女に話しかけられて嬉しいという当然の反応とは別に、自分のような無職のおっさん(まだ一応二十代だが)が幼女と話しているところを目撃されたら、怪しまれ、通報され、お縄を頂戴することになるに違いないという恐れだった。
わたしはむしろその恐怖で戦慄し、周囲を見回した。幸いなことに目撃者となるような人物は周囲にはいないようだが、ここは都心の神社である。無数に存在する、この場所を見下ろすことのできる窓のうち、どれかひとつに通報者の目が光っていないとは限らない。

「おじさま、欲しいものがあるんですか…?」
「わたしが欲しいものはこの世界の覇権ですが、目下のところは『原初の狩人・ガラク』が欲しいです。」

わたしを牢獄につなぐ引き金になり得るとはいえ、目の前の少女に直接の罪はない。わたしはしゃがみ、視線の高さを少女とそろえ、質問に返答した。
可愛らしい顔つきをしている。髪の毛はサラサラでぺたっとしていて、おかっぱ頭が和風ホラー映画にでも出てきそうな日本人形のように似合っている。
幼い女の子の可愛さというものは、わたしの仮説によると、無個性ゆえの可愛さではないだろうか。
人間は、年をとるに従って、最大公約数的な存在から細かく分岐していき、個性的な存在となっていく。当然、容姿にも個性が反映していく。
美醜で言えば、個性とは醜の要素ではないだろうか。
コンピューターで何十人だか何百人だかの顔を合成していきその平均点みたいな顔を算出すると、個性のない顔になり、それが美しい顔の典型とされる、とかそういう記事を以前どこかで読んだ気がする。
こどもというものは個性化以前の存在であり、上記のわたしの仮説に従えば醜の要素が発達していない段階である。
そういう美しさを感じる。

ところでこの少女、「おじさま」という単語を使った。育ちのいいお嬢様なのだろうか。
この神社の管理人の家の子だろうか。ご両親はそばにいるのだろうか。いるとするとかなりやばい気がする。

「おじさまが欲しいものって、このお札…?」
少女はそう言うと、空中から…
カードを取り出した。
テレビで手品師が目の前で物を取り出すトリックを行うのを見ると、核心的瞬間が隠されずに目の前で映像として展開されているのにも関わらず、モノが無の空間から発生するさまがよく認識できないということがある。
少女はそのように、何も無い空間からカードを取り出した。手品なのだろうが、やはりカードが出現する瞬間はわたしの認識の死角となる隙間に入り込んだようにうまく認識できなかった。

「これ、あげる…」
少女は取り出したカードをわたしに差し出した。

「見せてもらえるかな?」
とりあえず受領するかしないかを明確にはしない言葉で返答し、差し出されたカードを受け取った。
カードを確認すると、なんとそれは、紛れもなく、マジック・ザ・ギャザリングのカード「原初の狩人・ガラク」だった。

「これ、あげるから、つれてって…」
カードから目を上げると、少女の顔色はいつの間にか蒼白になっていた。
からだの芯もぐら付き、今にも倒れそうに見えた。
とっさに手を伸ばすと、まさに倒れ始めた少女のからだを受け止めることができた。

「大丈夫?」

声を掛けたが返事がない。ぐったりしている。
少女を抱き抱えているこの現場こそ、目撃されたら一発でアウトだ。わたしは今まで以上に必死に周囲を警戒してしまった。
しかし、少女の身を案じるよりもまっさきに自分の保身に意識が向かったことへの恥の意識が生じた。

『20代後半、無職、さらにこれで前科持ちになるな… わたしの後半生は試練に満ちているようだ…』

とりあえず一旦、警察組織に連行される恐れは度外視することにした。
目の前の少女の心配をしよう。

とりあえず少女を抱きかかえ、神社の建物の屋根の下に寝かせた。背負っていたDバッグに長袖のTシャツを入れていたので、それを枕としてあてがってやった。
以前、ホームヘルパー2級の講座で、「救急蘇生ABC」というのを教わった覚えがある。少女の状態が現状どのようになっているのか不明なので、今すぐ救急蘇生をするわけではなく状態確認からなのだが、たしかこの知識がこういうとき役立つはずだ。
Aは「air way」。気道の確保。仰向けに寝かせた場合、脱力した舌が口中で空気の通り道を塞ぎ、呼吸できなくしてしまうことがある。少女の顎を少し上げてやり、気道確保の姿勢にしてあげた。
Bは「breathing」。呼吸。呼吸が止まっている場合は人工呼吸を行えという教えだったはず。手を口にかざすと呼吸はしているのでその必要はない。
Cは「circulation」。循環。血液が体を循環しているか。要するに心臓が動いているかどうかということだ。心停止していれば心臓マッサージを行う。
脈は確か手首でとったはず。呼吸しているなら心臓も動いているとは思うのだが、介護職は一年でやめてしまったし、医療・介護の勉強を熱心にしていたわけではないので、わたしの知識は厳密ではない。覚えている限りのことはやったほうが良いだろう。
少女の手首に指を当ててむやみに脈を探していたところ、脈動する血管を見つけることができた。すると心臓は動いているということになる。

呼吸があり、心臓も動いている。転倒時に地面に倒れたわけでもないので外傷もない。
ぱっと見た感じではただ眠っているだけのようにも見える。
ただし、表情は眉にしわを寄せて、苦しんでいるようにも見える。
脱水症状かもしれないしくも膜下出血かもしれないしわたしの知らない持病持ちなのかもしれない。

彼女の保護者が近くにいるのであれば引き渡すことができるのだが、あいにく近くにはいないらしい。
救急車を呼ぶべきだろうか。
あるいは、先手を打ってわたしが警察を呼んで事情を説明し、彼女を保護してもらうべきだろうか。
神社の敷地内には管理人の家らしき住居もあるのだから、そこの住人に報告すべきかもしれない。

迷った挙句、119番をすることにし、iPhoneを取り出した。
ダイヤルを押す前に、深呼吸して、電話で伝えるべき内容を整理しようとした。現在地の説明の仕方、自分が確認できた範囲での少女の容態、転倒時の様子…

「その子、大丈夫?」

すぐ近くから女性の声で話しかけられた。
電話で言うべき内容を整理すべく集中していて、周囲への警戒を怠っていたため、接近に気づかなかったらしい。まあ、もしあらかじめ気づいていても逃げ出すわけにはいかなかったのだけれど。
見られたからにはわたしは通報されるだろう。前科持ちの家族を持つことになる実家の母や弟に申し訳ない気分になった。

だが当面の問題は倒れている少女であり、新たに登場した女性である。

「突然倒れてしまって。この子のお知り合いですか? 救急車を呼ぼうと思うんですが。」

顔を上げて返答しつつ女性の方を見た。
どこかで見た覚えがある。高校生ぐらいに見える。手には紙袋を持っている。買い物帰りなのだろうか。この紙袋もどこかで見覚えがある。

「あ、その子、よく見ると人間じゃないね。」

よく見ると人間じゃない。
人間でなければパッと見で判りそうなものなのだがどうなのだろう。

「わたしの目には人間だと映るんですがそうでないとするとなんなのでしょう。天使?」
「そうだね。近いね。神様だよ。」

ここは神社で、少女は神様。面白くなってきた。

「わたしはこの近所に住んでる言寺(ことでら)というものです。あなたは何者ですか。この少女についてご存知なんですか。」
「ああごめんごめん。あたしは板野桐子(きりこ)。そこ(といって彼女は神社の敷地内にある住居を指さした)に住んでる。この神社の管理人。高校二年生。その子はたぶん、何らかの神様だよ。霊感…というかカンで判るんだ。神様を病院連れていってもしょうがないよ。」

女子高生だ!
わたしは今幼女を介抱しながら女子高生と会話している。しかもここは神社である。これはなんてえろげだろう。
内心の興奮は頂点に達しようとしていたが、しかし、目下の問題を無視してしまうことはできない。大げさな解釈かもしれないが倒れている少女の生命の安全に関わることである。

「この子の正体は置いておくとして、わたしはこの子の今の状態が生命の危険につながらないかを危惧しています。」
「この子倒れたって言ってたけど、おじさ 言寺さん現場にいたの? どんなだった?」
「ええとわたしが神社の境内をうろうろしてたら突然話しかけられて、手品みたいにして空中からカードを取り出して、わたしにくれると言い、カードを受け取るとそのまま気絶するように倒れてしまいました。」
「ああだから言寺さん、そっちの手にマジックのカード持ってるんだね。」

言われてみて気づいた。少女から受け取ったカードを左手に持ったままだった。いろいろテンパっててしまうなり何なりするのを忘れていたらしい。iPhoneを手にしつつガラクのカードを指にはさんでいた。

「あ、『原初の狩人・ガラク』じゃん。さっきのお店で結局買った…訳じゃないんだね? ずっとにらめっこしてたようだけど。」

思い出した。この女子高生(キリコさんって言ったっけ)、アメドリで見かけた女性客だ。
「キリコさん」
「キリコでいいよ。なかなかむせる名前でしょ。」
「キリコ…さんはさっきアメドリにいましたね。」
「そ。マジック2012基本セットを5パック買ってきたんだ。キミはさっきガラクを眺めてたね。」
「よく覚えてますね。」
「いまどき下駄はいてるひとなんて珍しいからね。」

「言寺さんに聞きたいんだけど、この子、手品みたいにガラクのカードを取り出したって言ったよね?」
「催眠術だとか超スピードだとかのちゃちなものだったのかもしれませんがわたしの目には無から有を生み出したように見えました。」
「そのとき言寺さんはガラクのカードすごく欲しがってた?」
「わたしはガラクのカードを手に入れるだけのために生まれてきたと言っても過言ではないでしょう。」

「たぶんこの子はひとの願いを叶えてくれる神様だね。だからキミが欲しがってるものをくれた。すぐに倒れちゃったのは神通力が弱ってるから。科学が進歩して、このあたりは都市化も進んで、宗教なんかもどんどん衰退して、神様は弱っていく一方だからね。あたしの話信じてくれる?」
「信じます。」
「えっ 即答!? 簡単に信じてくれるとは思ってなかったのに。」

キリコさんと会話している間、寝ている少女の様子を観察していたが、容態は安定しているように見えた。これなら救急車を呼ばなくても命に別状は無いだろうという判断にわたし自身傾いていた。そのため、会話に臨む姿勢に余裕ができていた。

キリコさんの話す内容は非現実的だった。
にも関わらずわたしが「信じる」と即答したのには以下のような理由がある。
マンガやアニメや映画といったフィクションものの作品を見ると、非現実的な光景を目の当たりにした主人公がそれを認めたり信じたりするのを拒絶するシーンがよくある。目を血走らせて、「こんな事ありえない!」とか「これは夢だそうに決まってる!」とかのセリフを言う。
わたしはそういうシーンが大嫌いだ。なぜなら、それらの反応はテンプレートにはまったように一様で、バリエーションが無い。つまらない。しかもどうせ物語のそのあとの展開では、主人公はその現象を信じざるを得ないことになるのはわかりきっている。
そういうシーンを見る度、つねづね、「自分だったらそういうテンプレ的な反応は絶対しないね」と思い続けてきた。

そしてこの度の件である。
非現実的な説明をする少女が現れ、わたしに「信じてくれる?」と質問してきた。
ここで同意することを渋ってしまっては、わたしをイライラさせ続けてきたあのシーンを自分自身が主催することになってしまう。そんなことは許すわけにはいかない。
返答は瞬発力が大事だ。即答できたのは長年のイメージトレーニングの賜物だろうが、我ながらよくやったと快哉を叫びたい。

ただし、キリコさんの話を全部信じたかといえばまだそういうことではない。しかし、当面の間、彼女の話を信じたものとして事態の推移を見守ってもいいだろう。キリコさんの言っていることが何かの冗談であればそれはいずれ露見するだろうし、それが露見しないままで今回の件が一段落してもわたしが実害を被るわけではない。

「では救急車を呼ぶことはやめにします。とりあえずこの子が目覚めるまで見守っていることにしましょう。倒れる前、なにかわたしに言いかけていたようですし。」
「そうしてあげて。キミはなかなかむせる人物だね。」

むせる…?

「キリコさん、ところであなたはこの神社の管理人だと言ってましたね。」
「そうだよ。うちは代々そう。」
「それはあなたがこの神社の巫女さんだという解釈で妥当なのかな。」
「うーんまあそうだね。神様に奉仕する女性ってことだから。大したことやってないけどね。」
「すると巫女服を着ることもありますね。」
「普段は着ないよ。」
「この女の子はキリコさんの言葉によると神様だそうですね。」
「そうだね。八百万の神様の一柱…ひとりだね。」
「この子が目を覚ましたら、この子をどうすべきなのかキリコさんに相談したいのですが、お願いできますか。」
「うん、いいよ。あたしもそのつもりだし。」
「すると、この子が神様である以上、あなたとしては巫女としてこの子に接するということが言えますね。」
「うちの神社で起こってることだしね。」
「ということはあなたは巫女服を着なくてはなりません。衣服を整えるということは形式上のことではありますが、神仏への敬意を表現する重要な手段です。」
「言われてみれば… たしかにそうかも。」
「巫女服というものは大変素晴らしいものです。しかしそれは、アニメやゲームの世界では頻繁に見かけるものであっても、現実世界で目にすることはめったにありません。それは大変残念な事実だと言わなくてはなりません。もし、現実世界の神社において本物の巫女さんを目にする機会が増えれば、その価値は計り知れません。数多くの人間がそれに感謝し、神社へと足を運ぶようになるでしょう。そのことによって、人々が神を思う心は強化されるはずです。それはちからを失ったとされる八百万の神々にちからを取り戻させることにつながるのではないでしょうか。キリコさん、あなたは、是非、いますぐ、巫女服を着てくるべきです。神に奉仕する使命を帯びる者として。」
「そ、そこまで力説されると、すごいね。その気になってきたよ! よし! じゃあお望み通り着替えてくる! 待っててね。」

そう言うとキリコさんは小走りで建物の中に消えていった。

人間、不退転の決意を持って断固として説得に努力すれば、多くの困難を乗り越えて相手のこころを動かすことができるのかもしれない。

神様と言われた少女は不安げな表情を立てたまま寝息を立てていた。固いコンクリートの上に横たえられているのはかわいそうだ。キリコさんのうちに運びこんじゃ駄目なんだろうか。聞いてみるべきだった。


*****

とりあえずここまで。
現実的思考での独白中心の箇所から登場人物が増えて非日常的・非現実的要素が入り込んでくるあたりへの推移が難しいな。
まだどの登場人物も打ち解けてないが、会話になると書きやすくなってくる。
| 物語文章 | 14:57 | - | - | permalink |
11072902
気づいたんだけれどツイッターを小道具に使うなら冒頭からあったほうがいい。
専門用語についての解説は本文に必要だろうか。シュタゲだったらゲームシステムとしてTipsという専門用語解説のためのテキストストックがある。これうまいシステムだなあ。

何にせよ冒頭から書き直し。

***

[池袋のアメドリなう]

[新ガラク単品売り一枚5000円 たけえ! メイドさんが雇えるぞ!]

思わずiPhoneのTwitterアプリからツイートしてしまった。

『5000円、か…』

ここは池袋。
この街にはたくさんの側面があるが、その中のひとつに、カードゲームショップのメッカという面がある。
わたしが知っているだけでも、カードゲームの専門店が5軒はある。
ここで言うカードゲームとは、トランプや花札といった、ワンセットあれば遊べる類のものではない。トレーディング・カードゲーム(TCG)と呼ばれるものだ。
数千種類からなるカードを集め、自分の戦略に沿ったデッキを組み、ルールに従って対戦する。

わたしの行きつけは「アメニティドリーム」という名前のチェーン店だ。
普通、TCGのカードは、数枚のカードがランダムに封入されている「パック」という体裁で販売されている。しかしカードをむやみに集めただけでは遊ぶことはできない。
多くの対戦型TCGでは、カードを集めて「デッキ」というまとまりを作る。デッキとはルールに決められた枚数のカードの集まりで、プレイヤーの分身とも言うべき、美学と戦略との結晶である。
自らが考えた一定の戦略に基づいて、その戦略に沿ったカードを集めることでデッキは作られる。プレイヤーは自らが全身全霊を傾けて構築したデッキを持ち寄り、お互いの力量を競い合うのだ。
ただしデッキを組むのにはそれなりの知識がいるし最低限のルールも把握していなくてはならない。そこで、構築済みのデッキというものも販売されている。これはそれなりの戦略に沿って集められたカードが、デッキとして必要な枚数セットになっているものだ。初心者がそのTCGシリーズに初めて触れる際にとっつきやすいという役割も持っている。

カードの専門店のいいところは、パックや構築済みデッキだけではなく、カードが一枚ずつバラ売りされていることだ。
構築済みデッキに入っているカードは決まっており、そしてそこにはベーシックなカードしか含まれていない。強力なカードやレアなカードを手に入れたいのであれば、本来ならパックをたくさん買って、自分が求めるカードが当たるまで延々とお金をつぎ込まなくてはならない。
ところがカードゲーム専門店では、店側がパックを開封し、その中身のカード一枚一枚に値段を付け、バラ売りをしているのだ。客はもちろんカードの中身を確認して買うことができるので、自分のデッキの構想に従ったお目当てのカードをピンポイントで購入することができる。
ただし、カードの価格は一定ではない。レアなカードや強力なカードには高い値段がつく。パックで買ってもすぐに手に入るような発行枚数の多いカードや、ゲームで大して役に立たないカードなどは価格が下がる。

『5000円、ね… 人生って過酷だなあ…』
わたしは単品売りのカードの陳列されたガラスケースの前に立ち尽くし、ケース内に陳列された「原初の狩人ガラク」と、かれこれ20分ほどにらめっこをしていた。
一枚5000円。

TCGにはいろいろなシリーズが発売されている。海外産のものもあれば国産のものもある。古い歴史を持つものもあればシリーズ展開が始まったばかりのものもある。
わたしがプレイしているのは「マジック・ザ・ギャザリング」というシリーズで、これはTCGというジャンルを成立させた元祖的存在だ。「マジック」とか「ギャザ」とか「MTG」などと略される。
その歴史はTCGの中では最も古く、1993年にアメリカのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から発売されたのが起源になっている。
このゲームは全世界で支持され、日本語版公式Webサイトによれば、「世界9ヵ国語・60カ国で発売され、600万人のプレイヤーに愛されて」いるそうだ。

「原初の狩人ガラク」というのは、マジック・ザ・ギャザリングのカードである。
レアカードではあるが世界に数枚しかないというようなお宝級のものではない。ちょっと気合の入ったプレイヤーならば当然持っている程度の水準のレア度だと言えるのではないだろうか。
一枚5000円という高値が付いているのは、このカードの人気を示していて、それはこのカードがゲームに役立つ強力な能力を持っているということでもある。ただ、高額カードの中でも飛び抜けて高い部類かというと決してそうではない。
気合の入ったカードゲームプレイヤーであれば、一枚5000円程度のカードであれば、何のためらいもなくコレクションに加える程度の価格だろう。なにせ、本格的なプレイヤーがカードにつぎ込むお金というものは、「車を買うのに比べたらカードゲームのほうが安い」と表現されるくらいのものだ。

わたしはそこまで気合の入ったプレイヤーではない。できれば、ほどほどのお金をかけてほどほどのデッキを作り、ほどほどに楽しめればいいやと思っている。
しかし最近、カードゲーム仲間との間の対戦において、わたしは連戦連敗している。彼らのデッキはわたしの二回りは強い。
出来ればここで強力なカードを仕入れデッキの強化をはかり、せめて彼らと互角に戦えるようにしたいところではある。

iPhoneの画面を更新し、Twitterをチェックすると、相互フォローしているカードゲーム仲間からレスが付いていた。
[You 買っちゃいなYo! また対戦しようず]

わたしが出費をためらうのには大きな理由がある。
会社を辞めたばかりなのだ。次の仕事も決まってない。
暇になったからとふらっと散歩がてらショップまで来てむやみに購買意欲を刺激させたりなどしてしまったが、収入源を手放した上に出費まで増やしてしまうようでは、多少の貯金はあるとはいえ、身の破滅を加速させるようなものである。

「あ、新ガラクだ。」
後ろから別の客の声がした。そういえば長い間このガラスケースの前を占拠してしまっていた。
その客はわたしの注意を引いた。カードゲームショップの客には珍しい、女性の一人客だった。パッとしか見ていないが高校生くらいに思われる。私服なのでよくわからない。
カードゲームショップ店内は男の世界だと言って良い。しかもオタク男がその主成分である。非常にむさくるしくジメジメしている。
たまに女性客を見かけることがあっても、それは他の男性客のツレであることが多い。カードゲームショップはカップルでの来店を厳しく取り締まるべきだとわたしは常々主張している。

わたしはガラクのガラスケースの前のスペースを空け、そのまま店を出ることにした。

「一枚… 5000円。うわっ…」
わたしが開けたスペースに滑り込んだのであろう、先ほどの女性客がつぶやくのが聞こえた。彼女もガラクに興味があるのだろうか。

[ガラクに興味のある女性に悪いコはいない]
名言が思い浮かんだのでとりあえずツイートしておいた。

店を出た。
店外で一息つき、今回の来店での総括をツイートしておくことにした。

[新ガラクは欲しいがいまはガマンかな 新しい職が決まるまで出費は控えたいところ ああでも欲しいなあうーん… ガラクも欲しいが美少女も欲しい できれば後者のほうがいい]

iPhoneをズボンのポケットにしまうと、愛用の下駄を鳴らして、歩き出した。

***

商用ではないので(それが理由になるのかは知らないけれど)固有名詞をじゃんじゃん出してしまっていいと思う。そのほうが面白くもあるんじゃないだろうか。

実際につぶやくのとTwitterにつぶやくのとで動詞がかぶる。なのでTwitterへの投稿は「ツイートする」という言い回しにしておいた。

Twitter自体は会話形式で進行することも多いけど、作中で使うとすると会話として使うよりは独白として使われるほうが多い気がしてきた。

続きも考えよう。神社に行くところからかな。
| 物語文章 | 22:57 | - | - | permalink |
11072901
冒頭を書き始めてみる。タイトル未定。

***

「5000円、か…」

ここは池袋。この街にはたくさんの側面があるが、その中のひとつに、カードゲームショップのメッカというべき面がある。
わたしが知っているだけでも、カードゲームの専門店が5軒はある。
ここで言うカードゲームとは、トランプや花札といった、ワンセットあれば遊べる類のものではない。トレーディング・カードゲーム(TCG)と呼ばれるものだ。
数千種類からなるカードを集め、自分の戦略に沿ったデッキを組み、ルールに従って対戦する。

わたしの行きつけは「アメニティドリーム」という名前のチェーン店だ。豆知識を言うと、この店ではガムを噛むことが禁止されている。以前、この、ビルの三階にある店舗に、ガムを噛みながら入ったところ、店員に注意されたことがある。ガム禁止がこの店特有のものなのか、カードゲームショップ一般のものなのかは知らない。カードを夢中で物色しているときに誤って口からガムが落ちてしまってカードにくっついてしまうという事件が以前発生し、そこから得られた教訓が店のルールとして定着したのかもしれない。

「5000円、ね…」
わたしは「原初の狩人ガラク」とかれこれ20分ほどにらめっこをしていた。
一枚5000円。

TCGにはいろいろなシリーズが発売されている。海外産のものもあれば国産のものもある。古い歴史を持つものもあればシリーズ展開が始まったばかりのものもある。
わたしがプレイしているのは「マジック・ザ・ギャザリング」というもので、これはTCGというジャンルを成立させた元祖的存在だ。「マジック」とか「ギャザ」とか「MTG」などと略される。
その歴史はTCGの中では最も古く、1993年にアメリカのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から発売されたのが起源になっている。
このゲームは全世界で支持され、日本語版公式Webサイトによれば、「世界9ヵ国語・60カ国で発売され、600万人のプレイヤーに愛されて」いるそうだ。

「原初の狩人ガラク」というのは、マジック・ザ・ギャザリングのカードである。
レアカードではあるが世界に数枚しかないというようなお宝級のものではなく、ちょっと気合の入ったプレイヤーならば当然持っている程度の水準のレア度だと言えるのではないだろうか。
一枚5000円という高値が付いているのは、このカードの人気を示していて、それはこのカードがゲーム役立つ強い能力を持っているということでもある。ただ、高額カードの中でも飛び抜けて高い部類かというと決してそうではない。日本で人気のある国産TCG「遊戯王」であれば、レアカードの単品売り価格はその平均価格からしてMTGよりも高くなっているだろう。

***

朝の数十分じゃ大して書けないか。時間切れ。
今回の課題のひとつに「饒舌性」というのがあるので、本筋に関係ないうんちくとかはなるべく書く。すると一種、MTGやカードショップについてのレポート的な内容が求められるんだな。

時間があればかなり書けるはず。今の段階なら。土日だな。
| 物語文章 | 07:43 | - | - | permalink |
鏡の悪魔と魔女の娘 - ノベライズ
[1]
むかし、ある森の中にお城がありました。
お城には魔女が、ひとり娘と一緒に住んでいました。
その魔女はとても魔法のちからが強く、世界的に有名な大魔法使いでした。世界的に有名なので、魔法使いが集まるいろいろな会議に出なくてはなりませんでした。

魔女の娘は名前をニコと言いました。お肉が大好きで元気な13歳の少女でしたが、魔法の勉強は眠くなるのであんまり好きではありませんでした。

ニコのお父さん、つまり魔女のだんなさんは、ニコが赤ちゃんの頃に病気で亡くなっておりました。ニコはお父さんのことをちっとも覚えていませんでした。


[2]
「ニコ。起きなさい。今日も寝坊なの?」
朝6時に、ニコはお母さんに起こされました。

「今日くらいいいじゃない、ママ。」
ニコは起きたくありませんでした。

「なに言ってるのこの子は。バカね。いいからさっさと起きなさい!」
ニコはしぶしぶベッドから起き上がりました。

魔女のお母さんとニコとは、森からお花を摘んできました。
お花を抱えてお城に戻ってくると、ふたりはお母さんの部屋の前に来ました。

「鍵や、鍵や、鍵や、こっちにおいで。」
お母さんがそう呼ぶと、尻尾に部屋の鍵が結び付けられたねずみがお母さんのところまで駆け寄ってきました。このねずみはお母さんが魔法で作ったもので、普段はどこかに隠れていて、お母さん以外誰もその隠れ場所を知りません。そしてこのねずみは、お母さんが呼んだときにしか姿を現さないのです。

お母さんはねずみの鍵で部屋の鍵を開けました。ふたりは部屋に入りました。

お母さんの部屋は、運動場みたいにだだっ広く、教会みたいに天井が高く、珍しい魔法の品がたくさん置いてありました。
ニコは、面白そうな品物がたくさん置いてあるお母さんの部屋が大好きです。ついつい目に付いた魔法の道具に手を伸ばしてしまいます。

「ニコ。お部屋の品物に手を触れるんじゃありません! 遊んでないでこっちに来なさい!」
「なによ。ちょっとくらい、いいじゃない!」

お母さんの呼ぶほうには、おごそかな祭壇がありました。
ここは、亡くなったお父さんにお供え物をささげるための場所でした。
ニコとお母さんとは、毎朝ここに、森から摘んできたお花をそなえるのを日課としていたのです。


[3]
「いい? ニコ。お母さんは帰りが明日のお昼前くらいになっちゃうからね。家でおとなしくしているのよ。ちゃんとお勉強しなさいよ。」
「ガミガミうるさいなあママは。お勉強だったらいつもちゃんとやってるじゃない。」

お母さんは出かけていきました。有名な魔法使いであるお母さんはいろいろな会議に出なくてはならなかったのです。

「ちゃんと魔法の勉強をしてたおかげで、やっとひとつだけ魔法を覚えたんだもんね。」
ニコはお母さんの部屋の入り口の扉まで来ると、ポケットからちいさなブタのぬいぐるみを取り出しました。
「さあ、ニクスケ、お前の鼻の出番よ。」
そう言うと、ニコはブタのぬいぐるみに、扉の鍵穴のニオイをかがせました。
「鍵持ちねずみを見つけ出すのよ!」
床に置かれたニクスケは走り出しました。ニコがそれを追います。
ニクスケが走っていった先には、あの、尻尾に鍵をつけたねずみがいました。それは物置の衣装ダンスの裏に隠れていました。
ねずみには、隠れ場所から逃げる魔法は掛けられていませんでしたので、ニコはねずみを捕まえることが出来ました。
ニクスケをポケットにしまうと、ねずみの尻尾につけられた鍵を使い、扉の鍵を開けて、お母さんの部屋に入りました。

「これでママに叱られることなく好き勝手に魔法の道具をいじれるわ!」
ニコの目は好奇心できらきら輝きました。

ニコがお母さんの部屋の中をうろうろしていると、お母さんの化粧台を見つけました。そこにはきれいな手鏡が伏せて置いてあり、それがやけに気になりました。
ニコは化粧台の椅子に腰を掛け、手鏡を手に取り、鏡をのぞきこんでみました。


[4]
鏡に映ったのは、ニコではなく、キレイに手入れされたひげを生やしたやさしそうなおじさんでした。

「ニコや。すっかり大きくなったね。わたしは君のお父さんだよ。」
「え? あなたがわたしのパパなの? ママは、パパ、死んじゃったって言ってたけれど。」
「死んだわけではないんだ。ちょっといろいろわけがあってこうして鏡の中に住んでいるだけなのさ。」
「どんな訳なの? なにがあったの? ねえ、パパ生きてるんなら、もう毎朝パパにお花のお供え物しなくていい? わたし、朝早く起きなくちゃいけないのが嫌なのよ。」
「そうだねえ。ニコが嫌だって言うのなら、今度お母さんにわたしから頼んでみるよ。」
「ほんと? ありがとう!」

「ところでニコや、きちんと勉強してるかい? お母さんに負けない立派な魔法使いになるには、うんと勉強しないとね。」
「わたし、別にママみたいな大魔法使いになんてなりたくないわ。お勉強なんて嫌いだし、ママみたいになったってへんてこな会議にばかり出なくちゃいけなくなるだけじゃない。あっ。でもね。勉強してないわけじゃないんだから。ママががみがみうるさいからね。」
「ほほう。えらいねニコは。どれ、わたしがひとつテストを出してあげよう。うまく出来たらとっておきのご褒美を上げよう。」
「どんと来なさい! なんだって解いてやるんだから!」
「じゃあね、ニコ、これは読めるかな?」

お父さんは鏡の中で一枚の紙をニコに見せました。そこにはニコが勉強中の魔法文字が書かれていました。

「うーん。ちょっと難しいわね。でもこの間やった気がする。えーとえーと…
あっ! わかった! 『モシモシ アノネ オニク タベタイ』だ!」

ニコがそう答えた瞬間、鏡がピカッと光り、ボボンと煙が出て、鏡の中から人間くらいの大きさのものが飛び出てきました。
そのモノは、はじめはニコのお父さんの姿をしていましたが、すぐにカタチを変え、とがった角ととがった鼻ととがったあごととがった歯ととがった指先ととがったつま先ととがった尻尾とを持つ悪魔の姿になったのです。

「よくできました、お嬢ちゃん。出してくれて、ありがとう。おれはあの魔女につかまってた悪魔で、さっきのは俺を解放する呪文だったってわけさ! じゃあな!」
そう言うと、悪魔は部屋の入り口に向かって走り出そうとしましたが、足がもつれてすぐに転んでしまいました。

「ちっ。この部屋、なんて強い結界が張ってるんだ! ろくに動けやしない!」
悪魔はするりと物陰に隠れました。
ニコは突然の出来事にびっくりしてしまい、悪魔を見失ってしまいました。

「大変! ママにバレたら怒られる! ママが帰ってくるまでに、あいつをとっ捕まえて、鏡の中に戻さないと! でも、どうやって?」


[5]
悪魔はお母さんの部屋のどこかに隠れています。
ニコはめくらめっぽうに部屋の中を探しますが、悪魔は見つかりません。

「やばいわ。やばいわ。これはピンチだわ。ピンチ過ぎておなかが減っちゃうわ。耐えるのよニコ!」

ニコが部屋の中をうろうろ探し回っていると、ふと、小さな声が自分を呼んでいるのに気づきました。

「おほん。ええー。もしもし。もしもし。お嬢さん。おほんおほん。えへんえへん。」

それはちいさな黄金のハサミでした。

「わたしを呼ぶのはだれ? あんたなの、ハサミさん?」
「はい、そうです。一部始終を見てましたよ。あの悪魔にはまんまとしてやられましたね。」
「そうよ! あいつ、頭にくるわ! あんたを使ってあいつの首ちょん切ってやるわ!」
「いいアイデアですね! でもそうしたら、鏡の中にだれもいなくなって、お母さんに怪しまれますね。」
「あら、そうだわ。じゃあ、ちょん切るのは鏡に映らない尻尾だけで勘弁しといてやるわ。ねえあんた、あの悪魔、どこに隠れてるか知らない?」
「わたしにはちょっとわかりませんが、あいつのことは多少知っています。申し送れました、わたしはヒゲキールという名前で、もともとはあなたのお父上の持ち物でした。」
「あら、そうなの! パパの鼻毛を切ってたのね?」
「違います! わたしはお父上のおひげを常にうつくしくお手入れして差し上げるのが仕事だったのです。」
「じゃあ、鼻毛を切ってあげてたわけじゃないのね。」
ヒゲキールはそれには答えませんでした。

「あなたのお父上はとても紳士的で賢くお優しい魔法使いでした。あなたの母上と父上とはとてもお似合いのカップルだったんですよ。わたしは、あなたのお父上のおひげをお手入れして差し上げることを誇りに思っていたものです。」
「そんなにいいひとだったんだ、わたしのパパって。」
「残念ながら病気で早くにお亡くなりになりましたが、あなたを残していくことが残念だと最後までずっと気にかけておられましたよ。」
「パパが…」

「さて、あの悪魔ですが、あいつの使う魔法は、ものの見え方を変えるというものです。鏡の中であいつがお父上の姿をしてたのはそのせいですね。あいつを探すとき、見た目に惑わされたらなりません。」
「じゃあ、見つけらんないじゃない!」
「そーうーでーすーねー。実際難しかろうと思います。母上様があいつを捕まえたときは耳のいい使い魔を使って探しましたね。」
「耳のいい使い魔なんて、わたし持ってないよ!」
「でしょうねえーうーん。」
「あ、でもそうか、別に音で探さなくてもいいんだ!」

ニコはポケットからニクスケを取り出しました。
「あんたの出番よニクスケ! この手鏡のニオイをたどって、あのとんがり悪魔を探し出すのよ!」
ニクスケは手鏡のにおいをかぎ、一目散に駆けていきました。
ニコはヒゲキールをつかんで、ニクスケを追いかけていきます。

「ひいっ! 許して! 見逃して!」
ニコがニクスケを追いかけていくと、悪魔が本棚の裏で悲鳴を上げました。
けれどニクスケはそこを素通りして走っていったので、ニコはそれを無視しました。

「ひいっ! 許して! 見逃して!」
ニコがニクスケを追いかけていくと、悪魔が壷の中で悲鳴を上げました。
けれどニクスケはそこを素通りして走っていったので、ニコはそれを無視しました。

「ひいっ! 許して! 見逃して!」
ニコがニクスケを追いかけていくと、悪魔がほうきの束の中から悲鳴を上げました。
けれどニクスケはそこを素通りして走っていったので、ニコはそれを無視しました。

「つかまえた!」
「ちくしょう!何でわかったんだ!」
ニクスケの走っていた先には靴箱がありました。ニクスケはその中にある片方しかない長靴を鼻で指しました。ニコはこうして悪魔を捕まえました。

「でもこいつ、どうやったら鏡の中に戻せるのかな? ヒゲキール、知らない?」
「手鏡の裏側で思いっきりぶっ叩くのです。」
「了解!」
「えっ ちょっ 待っ…」

悪魔の台詞が言い終わるより先に、ニコは思い切り振りかぶって悪魔を手鏡で叩きました。
こうして悪魔は手鏡の中に再び封印されたのです。


[6]
「悪魔さん、ママは何であんたを捕まえておいてるの?」
「答える義務はないね。」
「そういえばあんたの尻尾ちょん切るの忘れてたわね。もう一回出してあげようか?」
「わたくしがここに閉じ込められているのは、あなたのお母様からある役目をおおせつかってるからでございます。」
「なにそれ? どんな?」
「わたくしは、お母様がこの手鏡を覗き込むたびに、あなたのお父様の姿になって、お父様の口調を真似て、あの方の『愛してるよ』と語り掛けなくてはならないのです。ここからいつか出してもらうための交換条件がそれなのです。」
「そうなんだ…」

「ママ、パパがいなくて、寂しいんだね…」


[7]
次の日、お昼前、お母さんが帰ってくると、ニコは、あらかじめ森でお花を摘んでおいて、お母さんを待っていました。

「お帰りなさい、ママ。今日の分、パパにお供えしようよ。」
「あら、ニコ。」

「ただいま。珍しいわね。ありがとう。」

それからは、ニコは、毎朝、自分から起きて、お父さんにお供えするお花を集めに行くようになりました。
もちろん、お母さんと一緒にね。
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